焼き海苔を酢飯に巻くと緑色からくすんだ緑褐色になってしまったり、場合によっては赤褐色になってしまうことがあります。 このような現象は色戻りといわれていますが、一つの要因としてクロロフィルの性質が関与しています。 |
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海苔の色素の中でクロロフィルは熱に対しては比較的安定していますが、光、酸素、酸等により、変化したり、変化が促進されたりします。
酸によっては、フェオフィチンという褐色の物質に変化してしまいます。
酢飯は酸性であり、酢飯に巻いた海苔ではこのようなクロロフィルの変化が生じます。
これが色戻りの一つの要因です。
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焼きのあまい海苔では、フィコエリスリンやフォコシアニンが完全に変性せず、残っていることがあります。
クロロフィルの退色に伴いこれらの色素の色がうきでて、緑色、褐色、赤紫の混じったくすんだ黒ずんだ色や赤みを帯びた色となってしまいます。
また、海苔によっては、短時間で赤褐色となるものもあります。
このような海苔は冷凍網を浮き流しで養殖した時の一回目の摘採で発生しやすいといわれ、育成時の障害(冷入庫するまでの養殖管理や冷凍時の影響といわれています)により、変性したフィコエリスリンを持っているといわれています。
クロロフィルの変化はそれ自体の性質によるものですが、フィコエリスリンやフィコビリンの残存は、焼きを強くすることで少なくすることができ、色戻りの防止には有効です。
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